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2015年2月19日木曜日

大きい海、死んだ私、浮かぶ電車、転がる船、輝く太陽




私が見たのは

だだっ広い海
水平線が見えてしまう海

その上に広がるのは
だだっ広い空
    爽やかな空

私は溺れそうなくらいに水を飲み込んだ
また
波は何度も私を飲み込んでいた

爽やかで、憎たらしいほどはっきり見えたその波は
何度も私を飲み込んだ

ザブーン

ザブーン

ザブーン

塩水が体に入ってきて
それ全部
目から鼻から口から耳から
出さなければと体が努力していた

目を閉じれば真っ暗だけど
目を開ければ海があり、空があった


何かが浮いていた

電車と船

長くて、きっと沢山の人を乗せた船

大きな旅客船、いやあれは貨物船か



だだっ広い海の上に
死体のように浮かぶ電車と船


音なんてしないんだ
キーーンって耳鳴りの音がする
でも、微かに波の音はした
ずっと耳の周りに、蚊のようにつきまとっていた


電車はその長い体を
だらりと伸ばしていた

船はその大きな体を
頼りなさげに倒されていた


私はそれを見ていた
一番苦しみながら

この海全部の水を
私が作っていたことに気がついていた
こんなにも爽やかな
こんなにも狂気を潜めた
こんなにもしょっぱい
こんなにも愛らしい
こんなにも純粋な
海を

私は作っていた  ひたすら

ひたすら、電車と船を
ぽつりと浮かぶそいつらを

哀れな気持ちに感じていた

だだっ広い海と空には

吐き出してしまいそうな横隔膜を膨らませていた




だけど、太陽があった
どうしようもないその風景に、太陽はあった

大きな存在感で、いや、
大きさもいつもの5倍くらいで
優しい瞳で、光ってた


だだっ広い海、その上に浮かぶ死体電車と船
その上に広がるだだっ広い空
その上にある一つの太陽

それを見る私


一度私は死んだみたいなんだけど
太陽は生きていた

私も電車も船も、海も空も死んでた
太陽は生きてた

太陽に向かって叫び出す

膨らみ続ける横隔膜を吐き出して




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